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『ザ・レポート』日常と化したCIAの拷問と虐待を暴くクライム・サスペンス

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アダム・ドライバー主演『ザ・レポート』がAmazon Prime Videoで配信された。2001年9月11日に起こったアメリカ同時多発テロ事件以降、CIAがテロ対策のため、「強化尋問」と称した非人道的で残酷な拷問、虐待の実態を上院職員が暴こうと奮闘するクライム・サスペンス。監督は『不都合な真実』を製作し、『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』の脚本も担当したスコット・Z・バーンズ。製作にはスティーブン・ソダーバーグが名を連ねている。

情報を得たいCIAが容疑者に行っていた「強化尋問」は、激しい肉体的・精神的苦痛や、時に死をもたらすだけでなく、その手法に科学的な裏付けはなく、明確な効果も上げられていなかった。容疑者を壁に打ち付け、水攻めにし、ストレスのかかる体勢に縛り上げ、虫と一緒に小さな箱に閉じ込めたり、強い光と大音量の音楽で長時間寝かせなかったり、気温の低い部屋で水をかけ放置したりする。拷問シーンには思わず目をそむけたくなる。『ボーダーライン』や、劇中にも登場する『ゼロ・ダーク・サーティー』を嬉々としてみていた自分が身につまされる。

批評家の評価も上々。ロッテン・トマトによる批評家の見解の要約では、「『ザ・レポート』はアメリカ史の暗黒面の一つを明るみに出し、ある公務員が忠実に義務を果たそうとする姿を一切の誇張を抜きに描き出した。同作は観客の心を掴む作品に仕上がっている。」となっている。動画ストリーミング配信事業のオリジナル映画製作といえばNetflixが一人勝ちしている状況だが、このamazon製作映画もクオリティでは遜色のない立派な良作に仕上がっている。


アダム・ドライバー主演『ザ・レポート』 | Amazon Prime Video