ノクトゥア

大学生のための「思考の種」

『一人っ子の国』に生まれて

ゴールデン・グローブ賞ミシェル・ウィリアムズが女性の中絶権を訴えるスピーチを行った。

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 2019年5月、アメリカのアラバマ州で妊娠を禁止する法律が成立した。同様の法律はミシシッピやケンタッキーなど徐々に広まりつつある。

自分の身体に対する選択を保障することは、基本的人権の最もベーシックな考えだと思う。中絶を禁止するのとは逆に、女性に中絶、堕胎、不妊治療を強制する政策が、中国の「一人っ子政策」だ。その国境や時代を超える影響を描いたのが、『一人っ子の国』である。

 

 監督ナンフー・ワンが民生用のカメラを片手に故郷を訪ね「一人っ子政策」に関わった人々にインタビューするドキュメンタリー。ワン監督の母親や地元の村役人をはじめ、当時人身売買に加担した人々や中国人孤児の出生を探るアメリカ人夫婦など様々なひとと出会う。やがて明かされるのは、「一人っ子政策」当時の人々の、得体の知れない無力感と、中国社会を規定する歪んだジェンダー観だった。

母体と胎児に関わる生命倫理を問う本作をぜひ観てほしい。