ベタープレイス、石田徹也
Lobsterr Letter vol.40 : Magic of Making the Media 2019年に世界をよりよくした19の出来事
WIREDが、「2019年に世界をよりよくした19の出来事」を述べている。
・科学者たちがはじめてブラックホールの写真を公開
・はじめての全員女性の宇宙遊泳により、国際宇宙ステーションを修理
・エリウド・キプチョゲがマラソンを2時間切りの1時間59分で完走
・シモーネ・バイルズが史上最多のメダル獲得者に
・量子超越性が実現
・テスラが1万マイル走るバッテリーを開発
・ディープ・マインドがStarCraftを公平にプレイし、未だに人間を負かす
・イギリスが石炭による発電を2週間停止する実験を成功させる
・ノルウェーがオイルの採掘を止めると発表
・最初の商用電気航空機が15分間航空
・イギリスの肉食動物数が絶滅地においても増える
・ザトウクジラが絶滅危機から回復
・イギリスのポルノブロック
・北アイルランドで中絶が合法化
・緊急保存と蘇生の研究
・抗レトロウイルス薬はHIV感染を防ぐ
・グレッグスのヴィーガンソーセージロールが爆発的大ヒット
政治的混乱や気候危機のさなかにあっても、進歩が止まったわけではないと示す輝かしい瞬間が、在り続けた2019年。「わくわくディストピア」なんて偽悪的になって、ブラック・ミラーのような未来に絶望することだけでなく、人類のために、世界のために世界をより良くしようとしている人々にも目を向けていきたいと思う。世界はよりよい方向に進んでいる、というのがファクトらしい。
HEAPS「機械のように生きる人、逃げ場のない人、空虚さを感じる人。画家・石田徹也が絵画へと昇華した〈社会が抱える孤独や不安〉」
石田徹也という画家を初めて知った。1973年静岡県生まれ。武蔵野美術大学を卒業後、アルバイトをしながら東京にて精力的に絵画の発表を続けてきた。2006年に踏切事故で死去。享年31。
石田本人に似た、短髪で丸顔の日本人男性が、虚ろな表情で便器やビニール袋と一体になっている。そんなモチーフを、様々に量産する石田。そこには彼の感じる孤立と不安が表現されている。その衝撃的な絵画の数々は、以下のサイトで確認してほしい。
映画『ジョーカー』にもつながるようなネガティブな感覚を引き起こす彼の作品だが、一方で女性をモチーフとした絵画は多くない。そこで表現される「孤立」「不安」は日本人男性に特に強く共有されるものであるような気がする。石田本人のジェンダー観が弱いというだけでなく、90年代、ゼロ年代の価値観がやはり古い、と逆に現代のジェンダー観の進歩を確認する構図になっている。