入門「ビリー・アイリッシュ」―10代の新人アーティストはなぜ2019年の主役になったのか
2016年、音楽ファイル共有サービス「サウンドクラウド」にアップされた曲が、一夜にしてヴァイラルヒットを記録した。2001年生まれのシンガーソングライター、ビリー・アイリッシュ。2019年の音楽シーンの主役とも言われる彼女は、いったい何者で、なぜ爆発的な人気と評判を得るようになったのか。
ビリー・アイリッシュの魅力と特徴
ユニバーサル・ミュージック・ジャパンのアーティスト紹介によると、その魅力は以下の5つで解説されている。分かりやすい説明なので、ぜひ見てほしい。
<ビリー・アイリッシュが注目を集める5大要素>
1.超個性的なビジュアルと天使の歌声のギャップ
2.誰にも媚びない、ティーンの代弁者と言うべき発言の強さ
3.絶えないメディアからの絶賛の声
4.変幻自在のライブパフォーマンス
5.個性的な生い立ち
ビリーの甘く軽やかな歌声や、クオリティの高い音楽づくりが評判を呼んでいることは言うまでもない。すべてのジャンルを包括しながらも独自の音を鳴らす彼女の楽曲について、音楽評論家の田中宗一郎は以下のように解説する。
音楽評論家の田中宗一郎は、「まず彼女は時代が作ったアーティストだということ。2010年代に起こった急激な変化とバリエーションが眼前にあって、そこから自分の個性に繋がるエッジーな部分だけをピックアップしてみただけとも言える」と前置きしながら、「ラップもロックもポップもゴスも今の時代のすべてを飲み込もうしてる」と、最大公約数でありながら独自のものだと位置付けている。
加えて彼女は、自身のファッションやライブを通じて、社会的抑圧に対して意思表示をしている。だぼだぼの服をいつも着ることで、自分の身体などすべてが商品化され性的に消費されることを防いでいる。「all the good girls go to hell」のミュージックビデオでは、気候危機の危険性を訴えた。自身のツアー会場には、2020年のアメリカ大統領選挙を前に有権者登録が出来るブースを設置して、意思表示の大切さを説いている。
ビリー・アイリッシュの活動の歩み
2016年、「サウンドクラウド」にアップされたのは、デビュー・シングル「Ocean Eyes」だった。この曲でビリー・アイリッシュはレコード・レーベルから注目される。
Billie Eilish - Ocean Eyes (Official Music Video)
2017年にEP「Don't Smile at Me」をリリース。シングル「Bellyache」も発表される。この商業的成功もあって、同じ年にはApple Musicの「Up Next」と呼ばれる新人アーティストの支援プログラムに選ばれた。「Up Next」は有名テレビ番組への出演やドキュメンタリーフィルムの作成などでアーティストを支援する。
2018年にはアメリカ人シンガー、カリードとのコラボでシングル「lovely」をリリース。同曲がNetflixオリジナルドラマ『13の理由』セカンドシーズンのサウンドトラックになった。
Billie Eilish, Khalid - lovely
2019年に待望のフル・アルバム『WHEN WE ALL FALL ASLEEP, WHERE DO WE GO?』をリリース。評論家からの絶賛を得る。アメリカでは2000年代生まれではじめてアルバム1位を獲得するアーティストになった。
WHEN WE ALL FALL ASLEEP, WHERE DO WE GO? (Full Album)
ビリー・アイリッシュはすべての楽曲を兄のフィネアス・オコネルとふたりで制作している。DIY精神で新曲を生み出し発表し続けてきたビリー・アイリッシュ。ファンは、楽曲やビジュアルに表れる彼女の進化を、リアルタイムで楽しみにしている。
現代を代表するポップ・アイコン、ビリー・アイリッシュ。2020年も彼女の動向から目が離せない。
気になったらまずはこちらのプレイリストをチェックしてみよう。